
Reactで動画を作る時代。「Remotion」なら、コードだけでMP4が生成できる。AIプロンプトで動画制作まで可能に。
Reactで動画を作る時代が来た。Remotion入門からAIプロンプト動画生成まで
動画を「コード」で作るという発想
エンジニアなら、こんな場面に心当たりがあるかもしれません。
- プロダクトのデモ動画を作りたいけど、Adobe Premiere Proは高いし使い方がわからない
- SNS用のショート動画を量産したいけど、手作業では限界がある
- データを可視化した動画を自動生成したい
そんな課題をReactのコードだけで解決してしまうのが、**Remotion(リモーション)**です。
Remotionとは
Remotionは、Reactを使ってプログラマティックに動画を作成・レンダリングできるオープンソースフレームワークです。
ChatGPTで有名なOpenAIとは関係なく、こちらは純粋なフロントエンド技術の延長線上にあるツール。Reactコンポーネントを書くように動画を作り、最終的にMP4ファイルとして書き出せます。
基本スペック
| 項目 | 内容 | |------|------| | 開発元 | Remotion(旧Jonny Burger氏が創設) | | GitHub Stars | 37,000+ | | 月間インストール | 90万回以上 | | 対応環境 | Node.js 16+ / Bun 1.0.3+ | | ライセンス | 個人・3名以下は無料 | | コミュニティ | Discord 6,000人以上 |
なぜRemotionが注目されるのか
1. Reactの知識がそのまま使える
Remotionの動画はReactコンポーネントそのものです。JSX、CSS、TypeScript、npmパッケージ——普段使っているものがすべてそのまま動画制作に使えます。
import { useCurrentFrame, AbsoluteFill } from "remotion";
const MyVideo = () => {
const frame = useCurrentFrame();
const opacity = Math.min(1, frame / 30);
return (
<AbsoluteFill style={{ backgroundColor: "#0f172a" }}>
<h1 style={{
color: "white",
fontSize: 80,
opacity,
textAlign: "center",
marginTop: "35%"
}}>
Hello, Remotion!
</h1>
</AbsoluteFill>
);
};
これだけで「フェードインするタイトル動画」が作れます。useCurrentFrame()で現在のフレーム番号を取得し、それに応じてスタイルを変えるだけ。
2. データ駆動で動画を量産できる
Remotionの真の力はパラメータ化にあります。
JSONデータやAPIのレスポンスを渡して、同じテンプレートから何百本もの動画を自動生成できる。例えば:
- ECサイトの商品紹介動画を全商品分自動生成
- 毎日のデータをグラフ化した動画を自動投稿
- ユーザーごとにパーソナライズされた動画を配信
手作業では不可能な規模の動画制作が、コードで実現できます。
3. レンダリング環境が柔軟
| レンダリング方法 | 特徴 |
|------------------|------|
| ローカル | npx remotion renderで手元のPCでレンダリング |
| サーバー | Node.jsサーバーでAPI経由のレンダリング |
| AWS Lambda | サーバーレスで大規模並列レンダリング |
| Cloud Run | GCP上でのレンダリング |
個人利用ならローカルで十分。本番環境ではLambdaやCloud Runで数千本の動画を並列レンダリングすることも可能です。
セットアップ方法
プロジェクト作成
npx create-video@latest
テンプレートは「Hello World」を選べばOK。TypeScript対応のプロジェクトが生成されます。
開発サーバーの起動
npm run dev
Remotion Studioが立ち上がり、ブラウザ上で動画のプレビューが可能。タイムラインをスクラブしながらリアルタイムで確認できます。
動画のレンダリング
npx remotion render src/index.ts MyComposition out/video.mp4
これだけでMP4ファイルが生成されます。
コアコンセプト
Remotionを使いこなすために押さえるべき概念は4つだけです。
1. Composition(コンポジション)
動画の「定義」。幅・高さ・FPS・長さをセットで指定します。
import { Composition } from "remotion";
export const RemotionRoot = () => {
return (
<Composition
id="MyVideo"
component={MyVideo}
durationInFrames={150}
fps={30}
width={1920}
height={1080}
/>
);
};
この例では、1920x1080、30fps、5秒間(150フレーム)の動画を定義しています。
2. useCurrentFrame
現在のフレーム番号を取得するフック。アニメーションの核。
const frame = useCurrentFrame(); // 0, 1, 2, 3...
フレーム番号からopacity、position、scaleなどを計算して、CSSアニメーションのようにスムーズな動きを作れます。
3. Sequence(シーケンス)
動画内の「シーン」を時間軸で配置します。
import { Sequence } from "remotion";
const MyVideo = () => {
return (
<AbsoluteFill>
<Sequence from={0} durationInFrames={60}>
<Title text="第1シーン" />
</Sequence>
<Sequence from={60} durationInFrames={60}>
<Title text="第2シーン" />
</Sequence>
</AbsoluteFill>
);
};
fromでフレーム単位の開始位置を指定。Sequence内ではuseCurrentFrame()が相対フレームを返すので、各シーンを独立して制御できます。
4. useVideoConfig
動画のメタデータ(幅、高さ、FPS、総フレーム数)を取得するフック。
const { width, height, fps, durationInFrames } = useVideoConfig();
レスポンシブなレイアウトやFPSに依存しないアニメーション計算に使います。
Remotion Prompts:AIで動画を作る
ここからが本題の後半。Remotionは2025年からAIコーディングエージェントとの連携に力を入れています。
Remotion Promptsとは
Remotion Prompts(https://www.remotion.dev/prompts)は、AIにプロンプトを与えるだけでRemotionの動画を生成できる仕組みのショーケース&ギャラリーです。
Claude CodeやOpenAI CodexなどのAIコーディングエージェントに対して、「こういう動画を作って」と指示すると、RemotionのReactコードを自動生成してくれます。
どんな動画が作れるのか
Promptsギャラリーには、こんな作品が並んでいます:
- 3D地図上の旅行ルートアニメーション
- ニュース記事のハイライト動画
- ロケット打ち上げのタイムライン
- データ可視化(棒グラフ+折れ線グラフのアニメーション)
- SVGロゴの3Dアニメーション
いずれもプロンプト(テキスト指示)だけで生成されたもの。動画編集ソフトを一切触らずに、これだけのクオリティが出せます。
Remotion Skillsの仕組み
AIエージェントがRemotionのコードを正しく書けるように、Remotion Skillsという専用のスキルセットが用意されています。
これはAIエージェントに「Remotionのベストプラクティス」を教えるためのもの。例えば:
useCurrentFrame()の正しい使い方- Compositionの設定方法
- アニメーションの実装パターン
- レンダリングの最適化
AIエージェントがこのスキルを参照しながらコードを生成するので、人間がRemotionの細かいAPIを覚えていなくても動画が作れるというわけです。
使い方の流れ
1. Remotionプロジェクトを作成
2. AIコーディングエージェント(Claude Codeなど)を起動
3. 「〇〇な動画を作って」とプロンプトを入力
4. AIがRemotionのコードを自動生成
5. Remotion Studioでプレビュー・調整
6. レンダリングしてMP4を書き出し
コーディングの知識がなくても、プロンプトの書き方次第で高品質な動画が作れる。これは動画制作の民主化と言えるかもしれません。
Remotionのその他の機能
Remotion Recorder
JavaScript製のビデオ録画・編集ツール。ウェブカムとスクリーンを同時に録画でき、以下の機能を備えています:
- 各SNSプラットフォーム向けのフォーマット自動変換
- Whisper.cppによるローカル字幕自動生成
- 無音区間の自動削除
- BGMの自動フェード
- トランジション効果
技術系YouTuberのスクリーンキャスト制作に特に相性が良さそうです。
Remotion Player
Webアプリに動画プレーヤーを埋め込めるコンポーネント。ユーザーがブラウザ上で動画をプレビューしたり、パラメータを変更してリアルタイムに結果を確認できます。
料金プラン
| プラン | 対象 | 料金 | |--------|------|------| | Free | 個人・3名以下のチーム | 無料 | | Company | 4名以上のチーム | 従量課金(レンダリング数に応じて) | | Enterprise | 大規模利用 | 月額$500〜 |
個人利用や小規模チームなら完全無料。商用利用もOKです。ポートフォリオ動画やSNS投稿用の動画を作る分には、一切費用がかかりません。
向いている人・向いていない人
向いている人
| タイプ | 理由 | |--------|------| | React開発者 | 学習コストがほぼゼロ | | データを動画化したい人 | パラメータ化で自動生成できる | | 動画を大量生産したい人 | テンプレート化+API連携で量産可能 | | Adobe製品が苦手なエンジニア | コードで完結する | | AI動画生成に興味がある人 | Remotion Promptsで手軽に試せる |
向いていない人
| タイプ | 理由 | |--------|------| | 非エンジニア | React/JSの知識が前提(ただしAIプロンプトで緩和される) | | 実写映像の編集がメイン | Premiere ProやDaVinci Resolveのほうが適切 | | すぐに1本だけ作りたい | セットアップの手間を考えるとCanvaのほうが速い |
まとめ
Remotionは「動画制作をエンジニアリングにする」フレームワークです。
Reactを書ける人なら、今すぐ動画を作り始められる。データ駆動で量産できる。そしてAIプロンプトを使えば、コードを書かなくても動画が生成できる時代がすでに来ています。
特にRemotion Promptsの登場により、「AIに指示するだけで動画ができる」という体験は、一度試すと世界が変わります。
npx create-video@latest
この1行から始めてみてください。Reactが書ける人にとって、動画制作のハードルが劇的に下がることを実感できるはずです。
参考リンク
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